銀河をぎゅっと

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 買い物から帰ってくると玄関に猫がいた。初めて見る小さな猫である。子猫の段階を過ぎたばかりといった具合の。あ、と気づく。磨りガラスだから膨らんで見えていたのだ。昼間の猫はこの猫だったのだ。たまに見かけるやつは堂々としているがこの猫は逃げはしないものの俺を見て警戒している。「どこから来たんだ?」と俺は声をかけた。返事はなく、焦げ茶色の猫はじっとしていた。俺の顔をひたすら見つめている。この生き物は何者なのかと判断しているのだろう。俺はその場をあとにし玄関の鍵を開けて家に入る。玄関の戸を閉めた時、唐突に、ある考えが頭に浮かんだ。  こんな俺にも夢ができた。ちょうどいい相手を見つけて一緒になり、その時、猫を飼おうと。猫と一緒に三人で暮らす…二人と一匹? いやその時は三人と感じるはずである。とにかく、その考えに俺は魅了された。上がり口に荷物を降ろすと玄関を開け、もう一度見てみようとさっきの猫を探したが、猫はどこかへ行ったようで姿はない。こちらが求めている時にはいないものなのだ。幻のように。 …あの猫はどこから来て、どこへ行くんだろう?                      おわり  
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