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それからの私の生活は変わった。姉の話を聞いた私はすっかり桜に魅了され、春になると毎日のように花見をして桜へ思いを馳せた。時には姉と一緒に花見に出かけたりもした。春が過ぎ、花が散り落ちた桜にさえ私達2人は風情を見出した。
共通の好みを持った私達姉弟の仲が深まるのに、そう時間はかからなかった。
いつしか私の姉に対する気持ちは、家族への親愛から一人の女性への恋心へと変化してしまっていた。
これは許されざる恋だ。理不尽な初恋を恨みながらも私はその恋心に蓋をした。
しかし、姉と接する度に私の中の魔の欲望がじわじわと私の理性を蝕んでいく。
このままではいけないと思った私は、姉との距離をとった。
私の拒絶を感じ取ったのか、姉も私と距離をおいてくれた。
姉との距離をとると同時に、桜とも疎遠になった。桜を見ると、姉を思い出してしまうから。
姉とも桜とも離れた私は、まるでその過去を水に流そうとするかのように男友達とつるんでいた。
放課後になると、決まってゲームセンターやカラオケに寄っていた。
だが、楽しいと思っても私の心は満たされることはなかった。
姉はまだ桜に心酔していたらしいが、もはや私には関係なかった。
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