コスモミロスの猫

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対抗策を講じる間もなく、移民集落は次々と壊滅。辛うじて難を逃れた人々は我先に脱出していった。 その脱出も万全とはいかず、全員を脱出させる前に黒曜石の襲撃を受け、宇宙空港は破壊された。 脱出策を失った地球人のある者は黒曜石の襲撃の前に倒れ、逃亡生活の果てに飢えや病で死んでいった。辛うじて生き残った地球人の更に幸運な一部の者が身を寄せ合い、隠れ集落を構築し、現在に至っている。 そうして黒曜石の襲撃に怯えながら、百年以上の年月が過ぎていた。   「今日の成果は…」  ねぐらに戻った二人は、それぞれの薄汚れたナップザックを開く。中から出てくるのは、錆びの浮いた鉄クズ。入植時代の遺物だ。以前はゴミ屑そのものだったが、今となっては貴重な鉱物資源だ。  理沙と浩三は、集落の外に出てはこうした鉄クズや場合によってはコスモミロスの「生きた」鉱物を採集している。鉱物採集というより狩りに近い。  地球から持ち込まれた鉱物資源はとうの昔に底をついた。不足分は理沙や浩三のような.「鉱物ハンター」が危険を冒して狩りとってくるしかない。 「この辺の鉄クズも、もう底をついたみたいだな。」 「でも父さん、ここから先は…。」 「分かってる…。」     
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