映画

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「ありがとございましたー」  外に出ると、空はいつでも雨が降れそうな、黒が見える雲に覆われていた。 「また、映画を借りたの?」  "彼女"は不意に現れて、まるで何か言いたげな様に僕に問いかける。 「わるいか」 「いえ、でも貴方が映画を借りる時は、大体何か嫌な事があった時だから。」  それに対し僕はまるで格言を話す様に答えた。 「映画とは、いいものだ。」 「良作であれば、時間や思考を忘れられる程見入る事が出来る」 「なら、駄作なら?」  僕の問いに対し、"彼女"はいたずらっぽく聞く。 「あきれて、物も考えられ無くなるさ。」  "彼女"は僕の話を聞くと、楽しそうに笑いながら近づいてきた。 「いいね、私も一緒に見させてもらっていいかな。」  ゆっくりと頷いて空を見上げると、晴れ間を感じさせる様に雲は輝いていた。
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