good-bye GB

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ＧＢには〈何かをしてもらったら、お礼に、お返しをしなければならない〉というような、行動規範が備わっているような気がするときがある。

だから洗浄の後は、その行動が如実にあらわれた。ＧＢは『洗浄をしてもらった』という恩を感じ、急いで俺に恩を返すために、俺に対して、なにかしらの命令を望んでいるような態度を示しているような気がするのだ。あくまでも気がするだけで、俺の思いすごしだと思うようにはしているけれど。

もしも、この行動規範が備わっていたとしても、ＧＢの製造段階で初期設定されていたものなのか、それともＧＢが自ら学習し、プログラム化した行動規範なのかは、今となってはもう確かめようがない。

まあどちらにしろ、部屋が汚くなっていることは事実なのだから、ＧＢに掃除をさせることに変わりはない。

スムースな脚さばきで、淡々と掃除をするＧＢを目で追い、動きに不具合がないかどうかを観察しながら、飯を食うことにした。

「床反センサーに異常はないか？」

と訊ねると、手を止め、上半身を起こし、こちらを見て

『はい異常ありません若干の誤差はありますが修正可能範囲内です』

といって、モップで床を拭きだした。

「明日の午前中は、日の出とともに充電しなきゃな」

『はいわかりました明日のこの地域の降水確率は０%であると気象庁が先程発表をしました』

「そうか、よかった、朝からたっぷり充電しておけよ」

『はい』

心なしか、返事に元気がないような気がしたが、残りの充電も少なくなっているだろうから、省エネモードに切り替えてるのだと思い、そのときはまったく気にとめなかった。