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やっとの思いで家に着くと、大型の幌付きトラックが停まっている。見るからに装甲車両で、それは明らかに軍部の輸送トラックだった。
「……GB!!」
俺はGBがいるであろう畑へ向かった。するとそこでは、軍服姿の兵士が2人、GBの胴体を細かくチェックしているかのように、ベタベタとあちこちを触って何かを確かめている。俺は急いで駆け寄り
「やめろ!GBから離れろ!」
と怒鳴り、咄嗟にGBと兵士の間に割って入った。すると兵士は
「なんだあ!貴様はあ!」
と俺以上の大声で怒鳴り、もう一人の兵士が、肩にかけていた害獸駆除用の鎮圧銃を俺に向けた。
「じ、GいBをどどうするつもりだ!?」
怒りがこみ上げ、言葉がうわずった。すると背後にいたGBが、落ち着いた口調で
『この方は軍の人事を担当している与田少佐さんですもう1人の方は与田少佐さんの警護兼秘書のアンドロイドのポテロさんです』
と俺にいった。ポテロというアンドロイドをちらりと見たが、どうみても人間にしかみえなかった。寧ろ与田のほうがアンドロイドのような風貌をしている。
GBの冷静なその説明ぶりに、すこし落ち着いた俺は
「な、なにしにきたのですか?」
と丁寧な口調で訊ねた。
すると、隣に立つ警護アンドロイドよりも更に一回り巨きな与田は、身体をゆらし、俺よりもはるかに太い腕を組み直し
「なにを?だと?軍からの【召集令状】が届いているはずだが?読んでいないのか?」
といった。俺は
「知らねえよ!そんなものは!なんのことだ!」
と再び声を荒らげてしまった。ここまできたら、どうにかしてシラを切り通すしかないと考えた。
強引にゴネていれば、ひょっとしたら、うまくことが運んで、GBの回収を諦め、連行されずに済むかもしれないとも考えていた。
「そうか……知らなかったのか……」
と、与田が神妙な声色になった。だから俺まで思わず
「ええ、【召集令状】?とかいうものは、届いていないですよ……ここには……だからなんのことやら……」
と、困っている雰囲気を漂わせた。沈黙がながれた
(もしかしたら、うまくいくかも……)
そう考えたいた。しかし
「では、これはなんだ?」
といって、与田は懐から朱い紙を取り出し、ペラペラと振って見せ、俺に手渡した。
俺はそれを見た。目を疑った。あのとき、ドラム缶に捨てたはずの手紙だったのだ。
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