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これは間違いなく、ドラム缶に投げ入れたはずの【召集令状】だ。紙の端や縁がすこし焼け焦げていて、所々黒く薄汚れている。けれど、それがそうである証拠はないはずだ。
「なんですかこれは?」
あくまでもシラを切ろうとする俺に、一歩近づき、与田はいった。
「この手紙にはな、封筒と同じシリアルナンバーが印字されていてな、それはGBにしか認識できないように加工されているのだ。
だからこの手紙のシリアルナンバーと、GBの記録デバイスに視覚情報として保存されている、封筒のシリアルナンバーを照合すれば、おまえが言っていることの真偽はすぐにわかるぞ、照合してみるか?時間の無駄だとは思うがな」
と一層険しい表情になり
「どうする!?照合するのか!?まだ回収しなければならないアンドロイドがあるんだ!おまえみたいに出頭してこない奴らが存外多くてな!!どうするんだ!?はやく決めろ!」
と、怒りで語気を強めた。
俺はGBを見た。そして与田に訊ねた。
「俺はこれからどうなるのですか?どうすればよいのですか?」
与田は、軍帽をはずし、短髪をかきながら
「もちろん任務を解かれるに決まっているだろう。開墾と完全食の生活とはおさらばになるな。もともと都市民からは不評な制度ではあったし、食料時給率の向上を図るぐらいなら、他所から奪ったほうが効率がよいことぐらいわかるだろう。大昔からの習わしだ。」
そういって軍帽を深く被り直した。警護アンドロイドは、銃口をこちらに向けたまま微動だにしない。GBは、俺と与田とのやりとりを黙って聞いているだけだった。
俺は、与田に抵抗しても無駄だと考え、シラを切ることを諦めた。
「わかりました……回収してください……あ、待ってください……最後に、GBにさよならをいわせてください……」
と、与田を見上げて頼んだ。与田はジロリと俺を見下ろし
「そんな暇はない!!いくぞ!!連行しろ!!」
と命じた。
すると隣で銃口を向けていたポテロというアンドロイドが、素早い動きで俺の手首を掴み、後ろ手に回し、重量感のある手錠をかけ、あっという間に俺を拘束した。
俺はなにがなんだかわからないまま、抵抗する間もなく、身動きがとれなくなってしまった。
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