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「まだ手に入るのか?」 「ああ、まあ、めぼしいところをあたってみるわな、いろいろ裏ルートもあるからな」 といって、ニヤリとふざけてみせた。 「じゃあ、いつものでいいかな?」 と、俺はうちからもってきた完全食3袋を、カウンターに置いた。 「おお!かまわんさ!おまえさんがもってくるブツは安全安心マル農印だからな!」 とよろこんで交換してくれた。 市場では、完全食は貨幣のような役割を果たした。つまり交換材料としてここでは認知されているのだ。他業者の完全食も出回ってはいるが、闇で出回っているのは大概がバッタもんであり、信用性で問題があることは否めない。 それにひきかえ俺のもってくる完全食は、農業従事者に毎月支給される、農協お墨付きの完全食ということもあり、信用度は高かった。 比較的等価とみなせる物であり、両者が合意すれば、概ねどんな物とでも交換可能だった。しかし、それはあくまでも個人間の物々交換として、贈り物をし合うという形式であって、商売ではない。という暗黙の了解になっていた。 だから、同じ商売人でも、貨幣交換を目的にしている店では、完全食との取り引きは成立しないのである。 俺は洗浄剤と潤滑油をもち 「じゃあまたくるな!次くるまで生きてろよ!じゃあな!」 と憎まれ口を叩くと 「うるさいわい!おまえこそガリガリになって餓死すんなよ!またな!」 といいながら、テヒタじいさんはパイプに火をつけた。 俺は店を出て、帰路についた。
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