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学年主任のミヒャエル・ベックマンは先ほど手渡された封筒を開いて中にあったレポートをさっと見た。
レポートによるとアリシア・アルバは以前の測定でも魔力0の判定を2回受けている。
だが彼女が実際に魔法、それもこの年齢にしてはかなり大きな魔法を使うのが目撃されている。
しかも一回は国境警備隊によって。
国境警備隊の魔法使用に関する判断はかなり確度の高い情報だ。
なにせこの世界において高度な魔法は軍事力の一部である。
ある程度以上の魔力の持ち主は言わばワンマンアーミー。
国境警備隊が他国の魔法使いの潜入を見落とすなどあってはならない。
魔力の高い子供は王立魔法学校にほぼ強制的に入学させられる。
この学校では魔法に関する教育と共に愛国心を植え付ける。
卒業後は軍人にならない場合も、社会的に優遇される。
だが、純血マウハリ人に見まごうばかりの外観に魔力0となると。
「アリシア・アルバについては調査報告書が出されている。
それを熟読した上で私がカリキュラムを作成する。
他の子の分の作業を続けてくれ。」
他の子のカリキュラム作成後、ベックマンは一人残ってレポートの続きを読んだ。
アリシア・アルバの父親は、郷士で両親そろってアレマ人。
父親は、妻がマウハリ人と不倫して子を産んだと思ったらしい。
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