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どこかで懐かしい声がした。
小鳥が囀ずる様な声。
聞き覚えのある声。
喜びと悲しみが同居して胸を締め付ける声。
「ご覧下さい。
深淵の深海に煌めく無窮の星々を」
ポツリ、ポツリと波紋の様に浮かび上がる
記憶の断片。
「私のマスターになってくれますか」
「私の家族、黒さんです」
「どうして追って来たんですか?」
「データバンクに検索をかけたら、
最低だと言う答えが出ましたよマスター」
「ふぅハゥ~
おはようございますマスター」
「女同士の秘密ですよマスター」
「私はマスターを信じてます」
「でもマスターは最後にはきっと
私を助けてくれていました」
「マスター、何を考えているんですか?」
「マスター、私がどうしてマスターを好きか知ってますか?」
「マスターは、自分の心の信じる道を
進めばいいと思います」
「はい、マスターについていきます」
「黒じゃないですよ。見ますか?」
「マスター、マスター、まぁすた~」
「マスター。
聞かないんですか?」
「マスター、もう少し待ってくれますか?」
「マスターはバカです」
「自分が何を言っているかわかっているんですか」
「失いますよ。
マスターは幸せを全て失いますよ」
「バカです。
何もわかってないバカです。マスターは」
「わかりました。
マスターがそう望むなら」
「いえ、あなたには分からないだけで、
私は一度あなたを失っています」
「心が壊れて壊れて、それでもあなたを求めて」
「私の心はもうその喪失には
耐えられないんです」
「でも前よりずっと好きになりました」
「マスターが喜ぶなら」
「私はマスターの愛玩用ペットです」
マスター
マスター
諦めないで
マスター
「ねぇマスター、
今も私は半分あなたを失っている」
「マ うれしい」
「さいご マスタ あえて」
「マスター会いたかった」
「辛くて、苦しくて、耐えられなくて、
精神が壊れたように蝕まれて」
「そして違うん世界にあなたを求めたんです」
「マスターごめんなさい。
私はあなたにずっと嘘をついていました」
ー 起きてー
マスター
ーマスター起きて下さいー
ーマスター私は幸せでしたー
ーだからねー
マスター
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