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ぼくの白いこ
きれいな縞柄の一張羅で、ぼくは今日も散歩に出かける。すてきなお召し物ね、って、真っ白な君が微笑んでくれるから、ぼくは今日も、あの家の窓辺に近づく。
限られたニャ音で話しかけると、君が笑う。ぼくは長いしっぽで窓をはたく。君はきらきらした夏空みたいな目でぼくを見る。
何を話そう?
でも残念。
ぼくは、後ろから近づいてくる、付近のボスの気配を察知して、冬の、花や草のない路地に逃げ隠れする。
明日はボスが出張だから、もう少し長くお話できるのを楽しみにしよう。(ボスは旅行かな? 家のひとが、彼を入れるケージを用意していた)
君はいつまでも若く美しい。ときどき、あの白猫は生きてないって、ボスに言われる。あれは生き物じゃない、って。
でもぼくは思うんだ、君の眼差しはほんものだし、ぼくの気持ちもほんものだって。
ぼくはしっぽを高くあげて、曇り空の下を走っていく。
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