雪像の白雪姫

２

　奈月と連日話さないことなんて初めてだった。中学以来ただのクラスメイトだった頃から、連休の時だって毎日のようにラインでやりとりしていたのだ。僕の高校は土曜日も授業があるから、長期休みでなければ顔を合わせない日が二日と続くことはなかった。
　失踪した日、あの角で別れてから返信も既読も来ない。警察に頼めばGPSですぐ見つけてくれそうなのに。家族でもない分際で捜索願は出せるのだろうか。
　まるで冬休みの延長気分だった。今週末からの雪祭りにも一緒に行こうと言っていたのに、どうなるんだろう。もし戻って来なかったら延期してくれるのだろうか。そんなわけないか。ちょうど半年だからサプライズでも…とか思っていたけれどそれどころじゃないし。
　あの時、家まで送って行けばよかったのか。クラスの女子たちのように無駄話を広げて時間をずらせばよかったのか。けれどそんな性分じゃない。
　とにかく知りたかった。どこに奈月がいるのか。無事なのか。なぜ姿を消してしまったのか。故意なのか、仕方なかったのか。今、何をしているのか。

　いつの間にか、自分が女々しくなっている気がした。