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「そうか」
翌日、担任に昨日のことを報告した。もはや担任はため息ばかりだ。
ちなみに、今日のシャツはフラミンゴ柄だ。たかが公立高校教師の安月給で、需要量に対して供給量の方が多いようなものを買えるなと呆れる。よくセンスもないのに高価な物を。担任の箪笥ひとつで、小さな動物園が出来てもおかしくなさそうだ。
「あの具合やったら、たぶん外に出れてないと思うわ。帰りにチラッと冷蔵庫のぞいてみたけど、中身ほとんど残っとらんかった」
「何か持っていってやらないとな」
「そう思って、今日の朝食の余りもうて来たわ」
こっそりタッパーそのまま持ってきたから、帰宅した後の分が悪い。学校には冷蔵庫がないから仕舞う場所に苦慮したが、冬場なので菌も見逃してくれるはずだと信じることにした。
「持って行きな。何かすまんな」
「何がですか」
「疑われてるらしいな」
その通り、たった今も僕らが立ち話をしている姿を遠巻きに眺めている奴らがいる。バレバレだから堂々としてくれ。
「直球で聞いてくる方がどうかと思いますけど」
まったく、空気の読めない担任だ。担任はいたずらっ子のような笑顔で詫びを入れた。すまんが笑いすぎてキモいです、先生。
「ごめんな」
だがしかし、疑いが晴れる兆しは一向にない。奈月の祖母は捜索願を出しそうにないし、僕が出したところで『犯人じゃありませんよアピール』だとか言われるだけなのは目に見えている。担任はいつものように中立の立場だから、特段何も危害を加えられなければ動くことはない。いじめに発展していないからマシなのか。
四限を知らせるチャイムが鳴った。
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