流星の子供達へ

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流星の子供達へ

私の話を聞いてください。  私の生涯唯一の恋の話を。  私は明日、殺されます。『老朽化』という名のもとに。  私は、もう一度あなたに逢いたい。  あなたのことを見ていました。  あなたはたくさんの流星の子供たちの中でも、一番輝いて私の目を奪っていきました。  私はあなたを愛しています。  私は、できることならずっと私の中のあの場所にあなたが過ごしてくれたらいいと思いました。あの場所とは、人々から忘れ去られた所。あなたが見つけてくれ、あなたの光をしばしば見かけたところです。 「えーこっちからはいれないのー! もう」  遠くグランドから聞こえてくる流星の子供たちの声に耳を澄ましていると、賑やかな足音が私の中で起こりびっくりしました。  久しく使われていない三階の図書室へ向かう階段に突然現れ、ガッチリと板と釘で固定された扉を軽くつま先で蹴っ飛ばすと大きく深呼吸をして息を整えると、長い黒髪を高く一つにまとめた襟足や額を伝う汗を学校指定の黒い革製の鞄を背から下ろすとタオルを取り出し拭いた。  その時、あなたの細い襟足を伝う汗に濡れ、しっとりと肌に張り付いた後れ毛に胸が高鳴りました。     
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