0人が本棚に入れています
本棚に追加
竜人は意を決してマリオンにその女性のことについて話を切り出す。
友人が調べてくれた内容はマリオンに似たその女性の名前や使用していたSNS、死因、家族についてをマリオンに伝えた。
マリオンは黙って静かに竜人からの話と情報をまとめた用紙に目を通した。
竜人は一通りの説明をすませると友人から借りたノートPCを開き女性がやっていたSNSサイトのログインページを開いてマリオンへログインしてみてはどうかと切り出す。
マリオンは少し指を震わせながら体が覚えているようにアカウント名とパスを打ち込む。エンターキーを押すとログインが成立し、その女性が亡くなる直前までの投稿がずらっと並んだ。最新の投稿にはその女性の友人と思われるコメントが女性の亡くなった日にち以降に寄せられている。マリオンは瞳に涙を浮かべその投稿をひとつづつ丁寧に読みふける。
そして最後まで読み終わると竜人へPCを壊してしまったことを謝り、ゆっくりとこれまでの覚えていることを語りだした。
静電気の走るような短い痛みで目が覚めると体が機械になっていて驚いたこと。もともとは人間だったはずであることは覚えているのに自分の名前やそれまでの記憶があやふやで不安でしょうがなかったこと。社会的な基礎知識は覚えていて出生の不明瞭な自分がアンドロイド管理局へ引き渡されれば破棄される可能性があって竜人の家へ居ついたことなどを語った。
マリオンは竜人へ一つ頼み事をする。それはもともと自身が眠っていた場所へ連れて行って欲しいということだった。もう一度あそこへ行けば何かもう一つ重要なことを確信できる気がするのだという。
バイクに二人乗りその廃屋へ向かう中その目的地の方で爆炎が上がる。さらに急いで現場へ向かおうとする山道に二人を待ち構える男と機械があった。
その男は竜人へマリオンを引き渡すよう促す。男の説明によればこれまで凍結されていた研究所に異常が起こり急行してみれば実験体だったマリオンの姿がなく足取りを追っていたらしい。放っておけばアンドロイド管理局へ通報され自然と回収されるはずがなかなか所在がつかめずやきもきしていたところへ顔認証システムへの違法な接続と目当てのアンドロイドの検索があった。このことから事態が悪化していると判断され研究施設は完全破壊が決まり続いて当のマリオンを荒事になっても回収することになったのだそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!