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 少年の回想。兄を失うことの恐怖から反射的に思い出されるトラウマ。  少年が幼いころの話。少年が五歳、兄が十二歳くらいの頃。少年は面倒見の良い兄が好きだった。どこに行くにも一緒で、何でも兄の真似をしたがった。  少年は兄に対し、とある悪戯をする。それが想定外に大事となり、兄に怪我を負わせてしまう。兄はその悪戯で右腕に傷を負う。少年にはそれがトラウマ、負い目となって残る。  次の日、学校。この世の終わりのような気持でいる少年はつい、女生徒に対し八つ当たりをしてしまう。(兄が居なくなることを匂わせる)これまで大人しく、感情の起伏が乏しかった少年の豹変した姿を見て女生徒は驚くが、少年に対し、連れていきたい場所があるいう。放課後、少年は素の自分を他人に見せてしまったことに複雑な気持ちを抱えながら女生徒の後をついていく。  女生徒が足を止めたのは駅前に広がる雑居ビル群の一角だった。暗い雰囲気に少年は足踏みするが、女生徒は臆せず雑居ビルの階段を上り、二階の一室の扉を開ける。     
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