6/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 人形屋は必要であれば兄の代わりとなる機械人形を作ることも可能だという。ただそれには、それなりのお金が必要なことと、機械人形の元となる人間に機械人形師が直接ヒアリングを行う必要があるということだった。  少年は人形屋を後にする。女生徒は兄の代わりとなる機械人形を作らせたいから招いたのではないという。自分の正直な気持ちを他人に話すだけで気分が晴れると思ったから少年を誘ったのだと。確かに少年は、兄を失うことの恐怖が少し薄れていることに気づく。それは自分の新たな感情に気づいた驚きからなのか、それとも、兄の代わりとなるものを作り出す方法があると知ったからではないか。自信をもってそうではないと言えなかった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!