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そんな風に考えるようになって、気分が落ち込むことが多くなった日のことだ。
その日は日直だったため、放課後一人、教室に残ってクラス日誌を書いていた。
ほとんど書き終わったころ、ガラガラと扉を開く音と共に担任の先生が入ってきた。
「そろそろ書き終わる頃かと思ってね。暇だったから様子を見に来たんだ」
先生は爽やかな笑顔を私に向ける。
クラスメイトも先生はかっこいい、憧れると騒ぎ立てていたが、たしかにこんな笑顔を向けられたら、騒ぎたくなるのも分かる。
「はい、ほとんど書き終わりました。わざわざ来てくださってありがとうございます」
「いやいや、正直日誌の受け取りはついででな。君に聞きたいことがあってきたんだ」
「なんでしょうか?」
自分でいうのもなんだが、私は成績優秀で、生活態度も良い。
特に話を聞かれるようなことはないと思うのだが……。
「最近なんか悩んでいるんじゃないか?」
私は日誌を書いていた手を思わず止める。
確かに悩んではいるのだが、表に出ていた自覚はない。
いつも通り生活していたはずだ。
「図星のようだな。まあ、話たくないことなら無理には聞かないが、話すと楽になることもあるぞ?」
先生は私を気遣って、そんなことを言ってくれる。
だが私にとっては悩んでいることを見抜かれたことの方が衝撃的だった。
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