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私が黙り込んでいると、先生がまた笑顔に戻った。
「まあ、そういうことだ。だから君は自信を持ってありのままに生きていけばいい!私が保証しよう!」
「ふふっ、ありがとうございます」
自分はこのままでいいのだという先生の言葉に嬉しさを感じると共に、先生のおどけたような口調に思わず、笑ってしまう。
「うんうん、良い笑顔が出来るじゃないか。君はそのままでも十分かわいいが、やっぱり笑顔が一番だな!」
爽やかな笑顔でそう言われた時、私は自分の鼓動が早くなるのを感じた。いや、そんなはずは……。かわいいって言われたことに動揺しただけよ!そう言い聞かせるが、なぜが先生の顔を見ることが出来ない。
「まあ、私にかわいいと言われても嬉しくないだろうが、本当のことだからな。君は自信をもっていいぞ!」
「……は、はい」
「よし!おっと、日誌の邪魔をして悪かったな。私が見張っていたら書きづらいだろう。職員室に戻るから書き終わったら持って来てくれ」
先生はきれいな長い黒髪をなびかせながら教室を出ていく。
私はそんな姿を見送ったあとも、ぼーっと先生の出ていった扉を見つめていた。
(え、私はノーマルだと思っていたのに!なんで先生にこんなときめくの!?いや、悩んでいたところにあんなこと言われたから……。そう、きっとそうよ!だから私が同性愛者と言う訳では……)
この日、私は先生のおかげで悩みを解消し、先生が原因で新たな悩みを抱えることになった。
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