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「あんた、数学の成績はいいからねえ。ところでお願いがあるんだけど」
「なに?」
「リーディングのノート貸して」
「五百円ね」
「ケチだなあ。せめて友だち価格にしてよ」
私ははいはい、と友だちをいなしながら、小夜子の方に視線を動かした。そうすると小夜子はいつもの委員長の顔をして、くちびるに人差し指をあてた。私は小夜子のことを誰にも言うつもりはない。教室内では私のほうが不良だ。そんな人間が小夜子のことをどうこう言っても誰も信じたりしないだろう。
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