1 ゆずは

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私が10歳のとき、お母さんが死んだ。 交通事故だった。 居眠り運転のトラックが、お母さんが乗っていた自転車につっこんできたらしい。 即死だったとのことだ。 あわてて学校から病院に駆けつけたらお母さんの亡骸の上でお父さんが泣き崩れていたのを覚えている。 まだ10歳の私には、お母さんが受けた傷を見たら衝撃にたえられないだろうと医者が判断し、亡骸は見せてもらえなかった。 私は今まで大きく見えていた父親が小さくなったような気がして、私がしっかりしなきゃと自分に言い聞かせた。私がお父さんを支えないといけないのだと…。 実際、お父さんはかなり長い間、お母さんの亡霊に苦しんでいた。 泣くタイミングをなくしてしまった私は自分の感情を押し殺して、しっかりしてる風を装うことで自分を保つことを覚えた。 成績優秀、品行方正、それが私の肩書となった。お父さんに迷惑をかけないように、そしてサポートできるように頑張ってきた。
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