1 ゆずは

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あれから、5年の月日が流れ、私はこの春から高校生になる。成績優秀な私は、地元の進学校に合格した。 合格発表も終わってやれやれと思っていた矢先、お母さんが死んでからめっきり老け込んでいたと思っていたお父さんが最近おしゃれになって、どうしたのかと思っていたら、再婚したいという打診があった。 正直、複雑な心境だった。 今でもお母さんの記憶は鮮明にあり、小さい頃に一緒に遊んだことや、料理上手だったお母さんにいろんなお菓子づくりを教えてもらったことなんかが蘇ってきた。 そんなお母さんのことを思うと心から喜べない自分もいて、でも、お父さんがひとりでがんばってきたことを思うとそういう相手ができたことを喜んであげないといけない気持ちと… 結局、私はなぜか満面の笑みで 「よかったじゃん。おめでとう。」 と口にしていた。 そう、お父さんにとってはお母さんの亡霊から抜け出せて第1歩を踏み出せたということなのだから…
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