プロローグ

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 その時シルバーのオープンカーが疾走してきて、慌てる広見巡査を土手下に転ばせた。そのままドライバーは簡素な橋の中央まで車を走らせ急ブレーキをかけると、フロントウインドウに設置された銃架に狙撃銃をセットした。    バゴリーニは3体のケプラーシオマネキに両手両足を挟まれ、巣穴に持ち去られる途中だったが、ドサッと川縁に落下した。見ると赤いカルキノスの右腕の大きい方の爪が3体分、拍子を刻むように次々と破裂し根元から折り飛ばされたのだ。 「大丈夫か? 太った少年!」  橋の上から誰かが、外套を翻しながら浅い小川に着地した……川面まで5メートル近くあるのに。  白い戦闘服姿の男が睨むと、ケプラーシオマネキはハサミ腕と共に戦意をすっかり失ったらしい。信じがたいスピードで一目散に逃げてゆくのが見える。  少年は赤いヘルメットを脱ぐ青年を見た。ストレートロングの金髪で宝石のような目を持つ、逞しい男の姿を。右腕に持つマークスマンライフルであるH&K G3SG/1の他、左腰にはバナナのように屈曲したグルカナイフを下げていた。 「あなたは……ひょっとしてヒコヤン! カルキノスハンターのヒコヤンですか?」     
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