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バゴリーニ少年が叫ぶのは無理もない。B級奴隷の身分に生まれながらも、その卓越したカルキノスハントの腕前を総督から評価され、S級奴隷に昇格した数少ない男……類い希なる戦闘力で100体以上のカルキノスをたった1人で屠ったという伝説のヒーローに命を救われたからだ。
「ハハハ、よせよ! 抱きつくのは」
ヒコヤンはバゴリーニの頭を撫でると、今度は土手を転がって泥まみれになった広見巡査を助け起こしに向かった。
「それでは、これで失礼します。お巡りさん、後は少年達をよろしく……」
夕食としてケプラーシオマネキの爪肉を3体分貰った子供達が、その目を丸くする。そしてヒコヤンは、ドアを開けずにロードスターの座席に飛び乗ると、エンジンの回転数を上げながら全速で街道を駆け抜けていった。
「い、いいオトコ……初めて……見た」
広見巡査はプルプル小刻みに震えながら、タイトスカートから伸びる太めの内股を擦り合せるように呻いた。その顔はアザラシとナイチンゲールを足して2で割ったような感じだった。
「ぼ、僕もいつかはS級奴隷に……ヒコヤンのようなSクラスになりたい!」
バゴリーニは砂煙を上げるヒコヤンの車影を、いつまでも夕日を背に見送ったのである。
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