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「え、ずるい! なんで俺も誘ってくれなかったの?」
「家族で行ったんだよ?」
「でも、はるちゃんはいっしょでしょ?」
そう言って私の顔をのぞきこんできた夏樹は、拗ねたようにほほをふくらませている。身体は大きくなっても、ころころと変わる表情も仕草も子どものまま。
「本当に仲いいなぁ」
「……優奈ちゃん。また勘違いしてるでしょ。絶対」
にまにまと頬を緩ませる私に、さらに不機嫌な声で夏樹が言う。
「もう、いいよ。ほら、優奈ちゃん。ちょっと持ってて」
「はい、はい」
夏樹が肩越しに差し出してきたクシを受け取る。
「どんな髪型にしてくれるの」
「ないしょ。できてからのお楽しみ」
髪を撫でられる感触にたずねると、笑みを含んだ声が返ってくる。さっきまでの不機嫌はどこに行ったのだろう。声には出さず、口元だけで笑う。
「優奈ちゃんの髪は真っ直ぐで、さらさらで。すごくきれいだよね」
「細いでしょ、母親に似たんだよ。沙奈も里奈もなんだよね。ただでさえ、子供の髪って柔らかいのに細くて、結びにくいったら……って、何?」
背後から聞こえたため息に、私は首を傾げる。
「俺は優奈ちゃんの話をしてるのに、全部、ちびたちの話になっちゃうんだなって」
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