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父は肝臓ガンであった。
私が幼稚園児の時から入退院を繰り返していた。
初めは大腸がんと診断され、
手術で回復すると言われ
私が7歳の頃に手術をした。
しかし、半年も経たず肝臓に転移、
ガンは、肝臓全体に豆をばらまいたように広がっており、
手術で取り除くことが出来ない状態だった。
数年で全身に転移し、
死んだ。
私が9歳の時だった。
人生で初めて見た死が、
人骨が、
一番身近で、
一番大切な人のものだった。
人の骨は白い物だと思っていたのだけれど
火葬された父の骨は
大変愛らしいピンクや水色、黄緑等の
パステルカラーの水玉模様だった。
何かの比喩ではなく。
強い抗がん剤の作用で
骨が、染まるのだと聞いた。
長身の父の骨は
7寸という少し大きめの骨壺に収まらず
頭蓋骨が半分以上はみ出していた。
まるで、
そこに入りたくないと
訴えかけているようだった。
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