#001 Father

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父は肝臓ガンであった。 私が幼稚園児の時から入退院を繰り返していた。 初めは大腸がんと診断され、 手術で回復すると言われ 私が7歳の頃に手術をした。 しかし、半年も経たず肝臓に転移、 ガンは、肝臓全体に豆をばらまいたように広がっており、 手術で取り除くことが出来ない状態だった。 数年で全身に転移し、 死んだ。 私が9歳の時だった。 人生で初めて見た死が、 人骨が、 一番身近で、 一番大切な人のものだった。 人の骨は白い物だと思っていたのだけれど 火葬された父の骨は 大変愛らしいピンクや水色、黄緑等の パステルカラーの水玉模様だった。 何かの比喩ではなく。 強い抗がん剤の作用で 骨が、染まるのだと聞いた。 長身の父の骨は 7寸という少し大きめの骨壺に収まらず 頭蓋骨が半分以上はみ出していた。 まるで、 そこに入りたくないと 訴えかけているようだった。
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