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自宅の門が閉まっていた為、
私は道路から屋内に向かって
「ただいま帰りました」
と声を張る。
古い家の壁はあまり厚くない為、
外からでも大きな声で呼べば
大概家の中には聞こえているのだった。
しかし、母からの返事が無い。
私が学校から帰宅する時間には
必ず家に居るからと言っていた母であったが
何故か
この日に限って
滅多に閉めない自宅の門に
ご丁寧に鍵までかけて
外出していたのであった。
後から聞いた話では、
不意に銀行に行く用事を思い出し
すぐに戻れば大丈夫だろうと
徒歩5分程の距離のそこに
出かけていたのだった。
せめて、門が閉まっていなければ。
私は自宅の敷地内に入る事が出来
庭で砂遊びでもしていたのだろうが…
居るのか居ないのかよく判らない
神とかなんとかいうものは
随分と酷い悪戯をするものだ。
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