#002 Sexual experience

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家に入れない私は 自宅駐車場前の側溝の蓋の上に 体育座りで腰かけていた。 ぼんやりと座っていると 目の前の道路をママチャリが通る。 母かと思い顔を上げると 全く知らない若い男だった。 男は、 黒髪の短髪で、髪を上に立てていた。 弁当に入っているバランの様な頭だったので そういうセットをしている訳ではなさそうだ。 顔は、手入れのされていなさそうな だらしなくボサついた太い眉毛と 皮の剥けた分厚い唇、 ぐりっと大きな目をしており ダサい不潔そうなトレーナーに ブルーのジーンズをはいていた。 年齢は、高校生から大学生程に見えた。 今になって思うと 所謂 “キモオタのニート” といったところであろう。 なにせ、平日の 小学一年生が帰宅する昼の時間帯に 子供の多い住宅街をぽつんと一人 自転車で走っていたのだから。 乗っていた自転車のカゴには、 灰色のゲームカセットが 裸のまま数本、乱雑に放り込まれており 何とも言えない異様な雰囲気だった。
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