39人が本棚に入れています
本棚に追加
半分ほど聞き取れなかったが
何を言われたのかは考えたくも無い。
そこから
私の記憶は無くなっている。
覚えていない間に
何をされたかは判らないが
“何かをされた”のだろうという感覚はあった。
私の春はそこで散ったのかもしれないし
免れたのかもしれないが
できれば後者であってほしい。
大人になり
漸く気が付いたのは
「逃げる」、「叫ぶ」という作業は
それを自身の危機と自覚できているからこそ
行えるもので。
何をされているのか
よく判っていない小学一年生は
ただただ、理解が追いつかないままの頭で
男が去るまで、されるがままになっていた。
私は動かなかった。
叫ばなかった。
しかしそれは
決して合意でも肯定でもなかった。
それだけは言える。
最初のコメントを投稿しよう!