#000 序

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母は 大変厳しく生真面目な人間だ。 自分の親である為 関わらないという選択は出来ないが 正直な所私にとって 大変面倒な存在であった。 だからといって、最近よく目にする 「毒親」という類でもなかった様に思う。 ただ、優しい人だった。 まっすぐな人だった。 その性格が、私の色々を制限していた。 父が居ない。 ただそれだけの事なのに 世間の風当たりは強く 「片親の家の子はまともな人間に育たない」 そういう、心無い周囲の言葉が 母を常に蝕んでいた。 片親だから 片親だから 片親だから。 私は欠片も不自由した覚えはないが 周囲の人間は、 何もなくともそれを言い、母を責め、 あらぬ噂を好き勝手流して回る。 汚い言葉を浴びせられたことも幾度もあった。
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