#000 序

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父の愛車のスカイライン ペーパードライバーの母は それを持て余していた。 乗るものが居ない車は 何もしなくても悪くなってゆく。 父の生前から世話になっていたカーディーラが 定期的に車の整備に来る。 大人の男手のない家では 屋根の修理や庭の事等 大きい物を動かさなくてはならない作業で 困る瞬間が多々ある。 母の友人の夫が 善意で協力してくれることもあった。 が それだけで周囲は母を 「夫を亡くして間もないのに 子供の居る家に男を連れ込む淫乱女」 そう噂し、流したし 自分の夫が、我が家を手伝う事を快諾した筈の母の友人も 「正直嫉妬する」 と訳の分からない事を口走り、 噂を流す側にまわってしまった。
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