死にゆく私は過去に思いをはせる。

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私は無事に小学校を卒業した。 一樹と一花は、私の卒業祝いに、とキャンプを計画してくれた。お金に余裕が出てきたとはいえ、最安値のキャンプだったが、私たち3人は幸せだった。 「ねぇ、帰ったら私はお姉ちゃんのかわいい服を着て、お姉ちゃんとおんなじモデル会社のオーディションを受けるんだ」 「六花は私みたいにお父さん似じゃなくて、お母さん似のクールな顔だから、こっちの事務所のほうがいいよ」 「お前一花のおさがりのフリフリな奴、全然似合わなかったもんな」 「はぁ?!〇ね!」 「こら、口が悪いよ六花」 そんな会話もしたけど、将来への希望が満ち溢れていた。 一泊2日のキャンプはあっという間に終わり、私たちは帰途に就いた。 そこで事故が起こった。 今思えば、呪われた血筋は私たちの幸せを許してくれなかったんだ。 最安値のひっそりとしたキャンプ場は、古くさびれていて、山の奥にあった。帰り道には朽ちかけたぼろぼろのつり橋を通らなければならなかった。 行きしなにも同じ橋を渡って何ともなかったから、大した心配もなくつり橋を渡り始めた。 橋の真ん中あたり。 私が1枚の橋板に足をかけとたん、その板は崩れ去った。足場を亡くした私は橋の下に真っ逆さま。 「わぁ!!」 「「六花!」」 一樹と一花は私の手をつかもうとして目いっぱいに手を伸ばす。かろうじて2人の手をつかんだけど、2人の重みに私の重みが急に加わった橋板はむなしい音を立てて割れ、3人もろとも橋から落ちていった。
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