死にゆく私は過去に思いをはせる。

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死にゆく私は過去に思いをはせる。

私の名前は小鳥遊六花(たかなしりっか)。 弱冠15歳で、明日死んでもおかしくない身だ。 今入院してる病院で、脳腫瘍(のうしゅよう)があると診断されてから2年。苦しい闘病生活を耐えて、耐えて、耐え続けてきたのに、癌の進行度はステージⅣを迎え、どうにもならない状態になってしまった。 脳に居座ってどんどん成長していく癌は、私の体を蝕んで、とうとう寝たきりになってしまう始末。 私は自分の血筋を呪った。 あれだけ生きようと頑張ったのに、無情にも私は死を待つ状態。私の血筋には死の呪いでもかけられてるんじゃないか。 私には、年の離れた兄弟がいた。 私がまだ6歳の時に、交通事故であっけなく死んでしまった両親の代わりに育ててくれた双子の兄と、姉だ。 6歳違いで、両親が死んだ当時12歳だった一樹(かずき)一花(いちか)は、何もわからず泣きじゃくる私の腕を引きながら、引き取り先を探し、親せきのもとを渡り歩いた。 行く先々で投げかけられたのは、冷たい言葉。 「うちにもあなたたちを養うお金はないの」 「孤児院に行けばいいじゃないか」 とうとう引き取りても見つからず、親の遺産と、家を売った時のお金で小さなアパートの家賃を払いながら暮らした。 一樹は、中学を卒業してすぐ就職し、親切な町工場で金をためた。 幸い、端正な顔立ちだった一花もモデル業でお金を稼ぎながら家事をした。モデルとして着用した服はすべておさがりで私に回ってきたので、服にかかるお金は節約できた。 私も家事の手伝いを献身的にすることで、家の負担を少しでも軽くしようとした。 そうしてやっと暮らしにも余裕が出てきた。
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