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夕方、目が覚めた智也はシャワーを浴びてから、パソコンの電源を入れ、昨日の続きを少し進めた後、バイト開始一時間前にアパートを出た。
途中、駅前の安い定食屋で、本日最初の燃料補給をして、駅から少し離れたところにあるバイト先のコンビニに到着した。いつも通りに制服に着替えて、タイムカードを押すのが午後九時五十八分。レジに立つバイト仲間に挨拶して、大して内容の無い引継ぎが終わると、小さな店舗内の時計は午後十時を指していた。
バイト先を決める時、智也はなるべく楽なコンビニで働こうと、駅から少し離れた住宅街にある小さな店舗を選択していた。ところが、その思惑は外れてしまった。一緒に働く店員が、この店舗のオーナーで、暇な時でもサボることができなかったからだ。一時期、辞めようとも考えたが、廃棄弁当を貰えるという餌に釣られて、すでに五ヶ月も働き続けていた。
なかなか進まない時計が午前一時を指し、そろそろ明日発売の雑誌が届く頃、近所に住む高校時代の同級生、町山大輔がやってきた。
「どうだった?」
「ほとんど来てたよ」
暇な店員と深夜の来訪者のやり取りは、そんな素っ気ない会話から始まった。
三日前、高校の同級生が死んだと町山から連絡があった。
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