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それを聞いた智也は、卒業してから六年間、一度も会っていなかったが、その同級生、高橋誠の顔がすぐに思い浮かんだ。
智也の通った高校は、三年間クラス替えが無く、クラス全員纏まっていたが、卒業後はみんなで会うこともなく、仲の良い面子だけで遊ぶ程度のつながりになっていた。死んだ高橋誠も、いつの間にか縁遠くなった一人だった。
告別式の時間と場所を矢継ぎ早に伝えた後、町山は一緒に行こうと誘ってきたが、あまり気が進まなかった智也は、バイトを休めないという理由で断っていた。
「クラスの八割ぐらいが来てたよ。来てなかったのは、お前と東京にいない奴らだけだった」
そう言うと、町山はレジのあるカウンターに寄り掛かった。
「へー、そうなんだ」
「興味なさ気だな」
反応の鈍い智也に、町山はつまらなそうな態度をした。
「俺、あんまり仲良くなかったし、お前だってそうだろ?」
「そうだけど、高橋とは三年間同じクラスだったわけだし、薄情な奴だな」
「バイトだったから仕方ないだろ」
「嘘つけ! 今何やってるか聞かれるのが嫌だったんだろ?」
本音をズバリと言い当てられ、うろたえた智也は、
「オーナーに怒られるから、用がないなら帰れよ」
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