第1章

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 ぶっきらぼうに答えた信一郎が、自分の大人気なさに反省している最中も、隣の木下は構わず話し続けた。 「坂本先生には、これから面接をしてもらって、気づいた事や気になった点を報告していただきたいんです。面接相手については先入観を持って欲しくないので、資料以上の情報は控えさせてください。あと、面接には刑事と弁護士が同席をします」 「キミは?」 「もちろん同席させてもらいます。あ、申し遅れました―――」 「木下君でしょ」 「はい、プロジェクトリーダーをやらせてもらってます。僕、沼田さんの下で働いていて、沼田さんに言われて、坂本先生の本は昔、何冊か読んだことがあります」 「昔ね……」  日々更新されていくテクノロジーに関する本にとって、昔という言葉には時代遅れという意味しかなかった。木下に悪気が無かったとしても、長い間、業界からつまはじきにされていた坂本には、嫌味にしか取れなかった。  到着したエレベーターに、先に乗り込んだ木下が目的の階のボタンを押した。 「ところで、なぜ弁護士が同席を?」 「さあ、上の人間が決めたことなんで自分には解かりかねます。彼女は会社の顧問弁護士でもないので、実は僕も初対面なんです」 「彼女?」 「女性弁護士です。綺麗な方ですよ。ただ……」 「ただ、何?」     
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