潔癖症の彼女。

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僕は相楽に渡そうか悩みに悩んだ末、こんな機会はもうないと思い、渡す事にした。 冷やかされるのが嫌だったので、空き教室に呼び出しそこで渡す事にした。相楽は全く話したことのない僕に呼び出され驚いていたが、ちゃんと来てくれた。 「今日の調理実習で作ったんだけど…良かったらもらってくれない?」 告白するつもりはなかったので、それだけ言った。 相楽はやっぱり驚いていたが、少し照れた笑顔で「ありがとう」と言って受け取ってくれた。 僕は受け取ってもらえたことに達成感と喜びを感じ、ルンルン気分だった。 しかしその後、僕は衝撃の事実を知ってしまった。 彼女は実は潔癖症で、回し飲みや、髪の毛を触られること、シャープペンシルや消しゴムを貸すことも苦手らしい。 そんな彼女に、僕は調理実習で自分が作ったものを渡してしまったのだ。念の為、彼女の友人に確認してみたのだが、人が作ったものを食べるのも勿論、苦手らしい。 僕は激しく後悔した。彼女は僕から貰ったものをどうしたのか…と考えたが、次の日、相楽に「美味しかったよ」と小声で言われた。 その時も照れた笑顔でそう言っていたが、彼女はきっと無理して食べたにちがいない。
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