第一章其の二 教官の記憶

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「若くてイケメンの男性の指導だったら、女の子たちは厳しくても頑張ってくれるものですよ」  そうかな。そんなものだろうか。僕にはあまり分からない感情だった。  あまり広い世界を知らないので、自分が美麗な要望なのかも実際のところはよく分かっていなかった。 「なぜ、女の子ばかりなのです?」 「色々あるみたいですが、さっき見てもらった飛行機。環境に優しい戦闘機に乗ってもらうのには、小柄な少女の方が都合がいいということらしいわ」 「環境に優しい戦闘機?」  何を言っているんだ。変な組み合わせの単語だと僕は怪訝な顔をしながら考えこんでいた。 「この国の特殊な自然環境を守るため、今回の紛争は『特別』な協定を結んだ上での戦争なの。かなり厳しく動植物に影響がでないように戦う協定になっているの」 「放射能がでるような弾を使わないとかそういうことではないのか?」  女性は無言で首を振った。 「そんなものじゃないのよ。毒性のあるものは駄目ね。それから、植物が燃えるような可能性のあるものも武器に限らず全て禁止よ」  僕は、言っている意味は分かるけれど具体的な例を考えはじめたところで『あり得ない』と思考を中止させてしまった。     
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