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言葉の割には、強い語気ではなかった。だから女の子たちも怯えた様子もなかった。むしろ、有名になれるならいいんじゃないのくらいトーンでささやきあっていた。
「そして無謀な戦線に送られて殺されるのよ」
ずばりといい切ったその言葉に、部屋中の空気も凍ったように固まってしまった。余計なことを言うなあと私は仏頂面で女の子たちの方を見ていた。
「そ、そんなことはありません。大人の皆さんだって、優しくしてくれていますし、ねっ」
立ち上がったのは最年少の十四歳でいつもは大人しいロヴィーサ・ストランベリだった。お人形のような整った顔立ちで、少し小さい体で懸命に反論しながら、周囲に同意を求めていた。
「は、はい。そうです」
同じく年少組の大人しいブリット・マルヤーナもうなずいていた。
「持ち上げてアイドルにしておいて、わざと見殺しにするのよ。そして、『国民よ怒れ!』って言うの。それが今の革命政府がするいつものやり方。そうでしょ?」
思い当たる事件がすぐに何件も思い浮かんできてしまったのか、少女たちの表情も固まって暗いものになっていた。
「それだけにしては、お金かけている気がする。戦力になるかは分からないけれど、生き残るチャンスはあると思う」
ロヴィーサやブリットを支えるように立ち上がったのはティルデだった。いつも明るく楽しくみんなのリーダー格だった。
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