第一章其の三 教官への記憶

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 言葉の割には、強い語気ではなかった。だから女の子たちも怯えた様子もなかった。むしろ、有名になれるならいいんじゃないのくらいトーンでささやきあっていた。 「そして無謀な戦線に送られて殺されるのよ」  ずばりといい切ったその言葉に、部屋中の空気も凍ったように固まってしまった。余計なことを言うなあと私は仏頂面で女の子たちの方を見ていた。 「そ、そんなことはありません。大人の皆さんだって、優しくしてくれていますし、ねっ」  立ち上がったのは最年少の十四歳でいつもは大人しいロヴィーサ・ストランベリだった。お人形のような整った顔立ちで、少し小さい体で懸命に反論しながら、周囲に同意を求めていた。 「は、はい。そうです」  同じく年少組の大人しいブリット・マルヤーナもうなずいていた。 「持ち上げてアイドルにしておいて、わざと見殺しにするのよ。そして、『国民よ怒れ!』って言うの。それが今の革命政府がするいつものやり方。そうでしょ?」  思い当たる事件がすぐに何件も思い浮かんできてしまったのか、少女たちの表情も固まって暗いものになっていた。 「それだけにしては、お金かけている気がする。戦力になるかは分からないけれど、生き残るチャンスはあると思う」  ロヴィーサやブリットを支えるように立ち上がったのはティルデだった。いつも明るく楽しくみんなのリーダー格だった。     
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