無口な君の

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 で、いちおう一緒に帰ったりなんかしているわけだけれども。 「どうしたの?」  珍しく無言になっている私が心配になったのか、これまた珍しく原田君の方から話しかけてきた。  私はじっと原田君を見る。  どことなくぼんやりとした顔。  無口なところも、ちょっとぼーっとしたところも、いいと思ったから好きになったはずなんだけど……。  度が過ぎると何を考えているかわからなくて不安になる。  今日の休み時間に見かけたみたいに、友達の前でもああだから悪気はないんだろうってわかってはいる。  でも、私のこと本当は好きじゃなくて仕方なく一緒にいるんじゃないかという不安はずっと消えない。  というか、私も本当に原田君のことが好きなのかな。  ちょっといいって思っちゃっただけで気の迷いだったのかな、なんて考えてしまったりして。  ああ、もうどうしていいかわからない。 「ねえ、私たちって別れた方がいいのかな」  ずっと考えていて、飲み込んでいたこと。  ぽそりと小さく、呟いてみる。  横目で原田君を見る。
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