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閃光。
爆発。
主砲同士の打ち合いから始まった艦隊戦は、今や戦艦同士がぶつかり合うほどの混戦となっていた。
巨大な宇宙戦艦に衝突した戦闘機は、火球となって宇宙空間に飛び散った。
彼も母艦の発射口から飛び出す。高速で戦艦の間をすり抜けながら、右腕の巨大なレーザー砲を戦艦の急所に打ち込んでいく。
一艦また一艦と確実に屠っていく。
彼は戦艦に比べれば1000分の1の大きさすらない。しかし異様なほど巨大な右腕の威力は、敵戦艦の主砲に匹敵していた。
戦況は味方に有利だった。
艦船数は少ないものの、事実上の戦力に圧倒的な差があった。
眼下には戦場となった惑星が光り輝いている。
目の前に飛び出してきた敵戦闘機を、左腕のレーザーブレードが切り裂く。彼の敵ではない。
エネルギ―補給のために母艦へ、戻ろうとした時だった。
残骸の陰から主砲を乱射しながら、敵艦が高速で母艦に突っ込んだ。
衝突。
爆発。
彼は巻き込まれた。
巨大な質量をもった敵戦艦に押されるように、惑星へ落ちていく。
右腕のレーザー砲がもぎ取られた。
惑星の重力に捕まった。
母艦は破壊された。もう僚艦に戻るだけのエネルギーもない。
敵戦艦ともつれるように落ちていく。落ちていく。落ちていく…。
地表に激突した。
それから、永い永い時が過ぎた…。
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