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 やろ! と再び青田が興奮する。ここまで反応がいいとは思わなかったが、むしろ好都合だ。 「先生、いきなりどうされたんですか。らしくないとみんなが言うのもそうなんですが、自分たちは確率の野球でここまで来れたんです。それを何でいきなり……」 「細かいことはええやんか。小さい、小さいなぁ。確かにオレも確率の野球は否定せえへん。せやけどやっぱり気持ちが大事ちゃうか、ということを先生は言うてはんねん。正直最初は確率のスポーツとか言うてはって、何言うてんねんとか思とったけど、それで結果が残って流石やなと思ってたところに、この爆弾発言や。よっ、大統領!」 「そうです。別に方針が変わったわけではありません。今まで通り、確率のスポーツとして捉えてくれればいいんです。でも、プラスアルファと言いますか、そういった観点が欲しくなりました。そのプラスアルファを、そろそろ加えてもいい。そういう段階にチームが入った、と思っています」  ペットボトルの水をぐいと飲む。中田は自分のことを無口な方だとは思っていなかったが、あまりこういう話をしないタイプである。普段と違うことを言ってみると、頭も口も乾いてしまう。     
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