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もっとも全くいきなりの発言というわけではない。前々から思っていたことだが、チームとしてようやく実現できるかもしれない、と思ってのこのタイミングだ。
「猫伏君、納得していただけましたか?」
猫伏がまた「えっ」という表情をした。何を考えているのだろうか、あるいは何も考えていないのか――
「ハカセ、とにかく『理屈じゃねえんだ』アルね? いいスローガンアルよ!」
「ガッツだぜ、以来のスマッシュ・ヒットやね。皆に言うてきますわ!」
ミーティングこれで終わりでヨロシか、とシュウに聞かれたので、そうですと答える。
ありがとうございました、と三人が立つ。後でまた、と言って教室を出る彼らを見送る。
伝わっただろうか、「普通の子」に。
その夜、練習後グラウンドに顔を出すと、部員がニヤニヤしながらこちらを見ていた。方々から、「理屈じゃない人だ」といった声がボソボソと聞こえた。
アプローチ、間違えたかもしれない。
そうした中田の杞憂とは裏腹に、大産大附属との試合は、大宮公園前高校に有利に進んだ。
理由は、高校通算40本塁打を誇る四番、中村を完璧に封じたこと、そして速球派エースの角、その速球を狙い撃ちしたことにある。
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