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 本日2試合目の先発は、我らがエース、シュウだ。遠目でも分かる、正確無比なコントロール。捕手の高木のミットは、ほとんど動くことはない。  審判が気持ちよさそうに、右腕を振り上げる。見逃しの三振だ。  五回の裏が終わってしまった。ということは、あと4回で、35本。  猫伏は走る。でも、なんのために?  ただ走る、というのは猫伏の性に合わない。  まず考えるのは、試合の反省だ。考えたくなくても考えてしまうし、考えるべきだった。  三番ショートで先発出場。6回終わって、三打席で二打数二安打。守備はいくつかのゴロを裁いた。無難、といえば無難。内野の司令塔としての十二分に動きもこなしたと思う。  先発の吉目の後を受けたのは7回だった。  結果から言うと、最低のそのまた下。  三回、無安打、奪三振6。で、四死球7。失点3。  ハカセに「猫伏君、これは野球じゃないよ」」と肩を叩かれた。曰く、「相撲ですよ、相撲」ということらしい。  反論の余地が無いことは重々承知していたが、ストレートに言ってくれとも思う。 「じゃあ、×10ね」と言って、二試合目のスタメンをハカセが述べた。当然ラインナップに猫伏の名前は無い。  ポール間走、四死球の数×10本。よくある話だ。  だから今走る。それが走っている理由。     
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