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 前評判は悪くはなかった。  地元の新聞に、三人の選手が紹介された。  まず、エースのシュウ。  正確なコントロールが武器。夏は4試合全てに先発し、28と1/3イニングで与えた四死球が5。明るい性格で、チームを引っ張る主将。中国から来た精密機械との評。  次に、センターの青田。 県下一の俊足。抜群の身体能力を生かしたプレーはダイナミックで、それでいて頭脳的なプレーも多い。大宮の韋駄天、と続く評。頭脳的な、いうところは、昨夏のディレード・スチールが記者の頭にあったのだろう。  最後に、ショートの猫伏。 走攻守三拍子揃った名プレイヤー。完成されたプレースタイルは、高校生離れしている。試合後半には、140キロを超える速球で相手を威圧する。松井稼頭央タイプとの評。  総括して、初めての甲子園を、センバツで狙えるのではないかという〆。  そういう評価だった。  なるほどな、と監督の中田は唸った。こう書かれるといいチームに見える。  実際良いチームだった。控えの層が薄いと言われることもあったが、プロ野球でもあるまいしそれほど問題であるとは思わなかった。     
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