プロローグ

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   月明かりすらない暗闇の中、その闇に同化するかのような一つの機体が息を殺すような静けさで周辺を警戒している蒼い一機の背後に回り込む。 「いただきっ!」    その言葉と共に左手に装備されたレーザーブレイドが光刃を形成する。  背後をとられた蒼い機体はその眩い光に気付き、避けようとするが時既に遅し、何も出来ないまま上下に一刀両断され崩れ落ちる。    動力炉を避けて綺麗に切断したためか爆発など起きず、飛び散る火花も最小限だった。 『お見事です、番外序列』    相変わらずの抑揚のない音声でAIが番外序列と呼ばれている男の腕を褒め称える。 「これで最後か?」 『機体はこれで最後になります。後は施設の破壊です』  そう言えば施設を占拠している集団の排除だったな、と男は頭をかいて機体を施設へと向け、左肩のリニアキャノンを連射した。    重低音と共に発射されたのは電磁装置によって加速させられた砲弾である。    男がいる場所から、離れた所にある施設は砲弾が命中した部分を綺麗にえぐり取られ、穴だらけとなった建物ではその重さを支えることなど出来ずに自壊した。 「終わりか?」 『生体反応・及び熱源無し、任務完了です』
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