防衛省地球外生命体対策課調理部

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「東京都港区に地球外生命体が現れました。周辺住民の方は避難してください」  そんな防災無線が街に響き渡る。昨日今日はじまったわけではない、地球外生命体の出現。街の人々はある程度落ち着きはらって、安全地帯へと避難する。  咆哮とともに、建物を破壊しながら進もうとする地球外生命体。長い尻尾と牙を持つ、恐竜に似たビジュアル。その身長は周りのビルと同じぐらいの高さだった。 「待て!」  尻尾を振り回し、ビルをなぎ倒そうとした地球外生命体を止めたのが、同じぐらいの大きさの白いロボット。流線型のボディで二足歩行する。 「おとなしくしろ!」  中に乗った私の相棒がそう叫び、地球外生命体を羽交い締めにする。  それを横目で見ながら、 「クック! 情報を!」  地上にいる私は、手元の液晶端末に呼びかけた。 『はい。彼はスリトリウム星人。肉は食べず、野菜を好んで食べます』 「ベジタリアンってわけね」  液晶端末クックの返事を聞くと、脳内に献立を展開する。  直接被害が出ない程度に離れたところにいるが、それでもスリトリウム星人が暴れると地面が揺れる。だが、それを気にしてはいられない。 「やってやりますか」  キッチンカーのコンロの前に立つと、私は気合を入れた。
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