第一章 はじめましては突然に

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 この有様では完全に無視して進んでいくのも難しいため、時たまデータ収集目的で無人偵察機を送り込んでいたのだが、最初の時同様いきなり消えるとそのまま帰ってこなかった。その後何個かの重力場で何回か実験を繰り返すうちに、一機の無人偵察機が消えたと思ったら船団の遙か後方(船団の感知範囲内ぎりぎり)に出現したことがあった。    このことから、この重力場の中に入るとこの宇宙のどこかに飛ばされると考えられ、『ワームホール』と呼ばれることになった。  試行回数自体が少ないためデータの信用度合いはあまり高くないが、事実としてこういった現象が起きたということで、船団内ではより一層注意する必要があるという見解で一致していた。 「ああー、早く『オオハヤブサ』以外の艦と合流したいー」 「そうですね。私たちだけで活動できるとはいっても、本来の活動とは比べものにならないほどに小規模ですからね」    外宇宙でも活動できるというコンセプト上『オオハヤブサ』だけでなく、船団所属の艦は単艦でも活動に支障を来さないように、一つの艦ですべてが解決する循環型のシステムを採用している。  とはいえ、あくまで活動できるであって、船団所属の艦が多ければ多いほど『万全』や『完璧』といった言葉に近づけるだろう。 「そういえば、知ってる?」 「何を、ですか?」    唐突に話が変わることはリョウと話しているとまあまあよくあるので、リオも気にした様子もなくリョウの話にのっかる。 「この『オオハヤブサ』って名前、もうかなり前の探査機からとったみたいなんだよな」     
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