第一章 はじめましては突然に

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 リオが首をかしげる。当時の技術がどれほどの物なのか想像の域をでないが、ここまで聞いただけでも難易度が高そうというのは感じ取れていた。 「ああ、奇跡なのか努力なのか……あるいはその両方か? さっきもいったが古いデータのせいで全部じゃないが、かなり苦労した思われる記録が残っていた。何回も通信と微調整を繰り返して予定よりも長くなったもののようやく地球に帰還することが確定出来たらしい。その後、探査機の本体は大気圏において、サンプルを回収したカプセルを除いて燃え尽きた……と。当時じゃ探査機にAIなんかは搭載してないわけだが、地球に帰ってきても地上に降り立てなかった本体のことに感動する人が結構いたみたいだぞ。『物語にもなった』と注釈が残っていたな」 「そうですか……サラッと聞いただけでもすごいお話ですね」    リオはどこか琴線に触れるものがあったようで、語彙が雑というか乱れている。  作業をしながらも聞いていた艦橋の乗組員もリオと似た印象をうけたようで、感じ入ったように頷いていた。制御技術が格段に進歩、進化した今では基本的に考えられない話だが、こういった話に感情を揺さぶられるのは今も昔も変わらないのだろうか。    だが、リョウはそんな反応を見せるリオ達を尻目に「でもなあ?」と前置きをすると、     
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