第一章 はじめましては突然に

16/86
前へ
/170ページ
次へ
 こちらが攻撃していないことにも関わらず破壊されたことに憤りを覚える意見が船団内でも出てきたが、相手は初の地球外生命体(?)だ。その対処は慎重に行うべきという意見が大半を占め、対話を試みることとなった。    その後も何度かコンタクトをとろうと通信音声や光といった地球圏でもよく用いられるものをはじめとして様々な手法がとられたが、そのどれにも反応することはなく無人偵察機は撃墜され続け、有人機や船団に対しても攻撃的行動をとってくる地球外生命体(機械甲虫)。この時点で船団はこの生命体(機械甲虫)を宇宙における災害、もしくは敵と認定し、出会った場合優先的に撃破することを決めた。 「……進路を変えればやり過ごせるか?」    ぼそっとリョウが呟いた。五〇〇程度の機械甲虫であれば、この『オオハヤブサ』一艦だけだとしても負けることはない。    だが、無理に戦闘する必要はないのだ。  無視できるのならば、無視してしまった方がいい。    そう判断したリョウだったが、その意見は考えを纏める間もなく一瞬にして否定された。 「だめです。機械甲虫、こちらを認識した模様……進路を当艦へと向けてきています」 「となれば迎撃するしかないわけだが……」    かったるいとばかりに首を回すリョウ。    この状況でも変わらない態度に、リオはさすがに小言を言おうと口を開こうとするが、リョウの行動によって出鼻をくじかれてしまった。     
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加